大学費用、4年間でいくらかかるか全てこみこみで計算してみました。
大学費用のために学資保険や貯金をする家庭が多いですが、ひとり親家庭はそんな余裕がないケースが多いですよね。
そこで、大学進学時に「貯金なし!」という場合にどのように費用を調達すればいいのかもまとめてみました。
子どもたちが育つたびに、「大学進学費用…貯金なし…どうしよう」とびくびくしている方の参考になればと思います。
も・く・じ
大学費用、4年間でいくら?
大学にかかる入学金と授業料は4年間でいくらくらいかかるのでしょうか?
2020年の高等教育無償化(俗にいう大学無償化)制度スタートによって、どのくらいこの負担が軽減したかは、こちらで解説していきますね。
国立大学の場合
文部科学省の調査によると、平成29年度の国立大学の授業料は535,800円/年です。公立大学は538,294円/年なので、国公立ともに約54万円となります。
30年前は国公立大学の授業料は25万円ほどだったと思うと、今の大学は費用が高すぎて驚きます…。その分設備投資などにお金がかかっているかと思うと、老朽化を問題視される大学も多いので、単純に少子化による各家庭負担が増えたと考えられます。
また、平成29年度の国立大学の入学金は282,000円です。公立大学の入学金は394,225円と10万円以上高くなります。
つまり、大学入学時にかかるお金は国立大学で817,800円、公立大学で932,519円となりますね…鬼か…。
4年間の入学金と授業料の合計は…
- 国立大学…2,425,200円
- 公立大学…2,547,401円
「安い国公立大学に行ってほしい」と願う親が多いけど、国公立大学でも4年間で約250万円の費用が掛かるのです。学部によっては教材費などが加算され、更に数百万円上乗せされます。
ではもっと高い私立の大学はどうなるのでしょうか?
私立大学の場合
文部科学省のデータによると、私立大学の授業料は約868,447円、入学金は256,069円かかります。
私立大学も30年前は50万円ほどだった授業料が跳ね上がっていますよね…
入学時にかかる費用は1,124,516円…4年間の総額の大学費用は3,729,857円です。
国立大学の総額費用の250万円も高いと思ったけど、私立大学は最低でも372万円かかるんです。学部によっては教材費で更に数百万円上乗せされると思うと、恐ろしいですよね。
更に、自宅から通学する場合と、一人暮らしする場合では費用も格段に変わってきます。
自宅から通学とそうでない場合の差額は?
※図は生活費のみの計算です。
自宅から大学に通う場合は、食費や住居費や光熱費、それに伴う生活費がかからずにすみますが、自宅外から(1人暮らしで)大学に通う場合は、新たな住居費や生活費が大量にかかってきます。
2020年度の日本政策金融公庫の調査によると、自宅外通学者の割合は、全体の27.4%となり、在学者の3分の1ほどが自宅外からの通学となっていることがわかります。
そして自宅外通学者への毎月の送金は平均して7.5万円/月となり、年間で約90.3万円となります。
また、それとは別にアパートを借りる敷金礼金や電化製品をそろえるための初期費用が、入学者1人当たり約39万円かかります。
4年総計で、自宅外からの通学者にかかる費用(生活費)は約400万円です。
4年間でかかる費用総額は400万円+372万円=772万円となります…。
400万円+250万円=650万円かかります。
15年返済型の学資ローンを組む以外に、払える世帯は少ないと考えられます。けど、国が「大学無償化」を始めてくれたために、この負担が大幅に減ることになりました!
大学無償化制度でどのくらい安くなる?
2020年4月より、大学無償化がスタートしたため、ひとり親家庭の子どもにも大学進学の希望が大幅に見えてきました。
※この内容は2020年12月現在の計算であり、今後制度が改変し、数値が変わる可能性があることをご了承ください。
例)私立大学4年間で自宅外通学の住民税非課税世帯の場合
【入学金26万円】+【授業料70万円×4年間】+【給付型奨学金91万円×4年間】=約670万円の支援を受けられます。
つまり、上で計算した4年間の大学費用総額の772万円のうち670万円が支給されるため、家庭の負担は4年間で102万円となるのです。
私立の4年生の大学費用が4年間で102万円で済むのなら、大学進学できるようになるひとり親世帯が増えますね!
例)国立大学で自宅通学の住民税非課税世帯
【入学金28万円】+【授業料54万円×4年間】+【給付型奨学金35万円×4年間】=約384万円の支援を受けられます。
自宅通学の場合は、大学の授業料と入学費総額の約250万円をのぞけば、134万円の支援金を通学の交通費や教材費、被服代などに充てることができ、子育て負担も軽くなります。
例)国立大学で自宅外通学の年収380万円世帯の場合
大学無償化制度は、住民税非課税世帯に手厚く、それに準ずる世帯になると大幅に支援額が減ると言われているので、年収380万円世帯も計算してみましょう。
年収380万円世帯は、住民税非課税世帯の3分の1ほどの支援を受けられるため、
【入学金9.3万円】+【授業料18万円×4年間】+【給付型奨学金26.6万円×4年間】=約188万円の支援を受けられます。
授業料250万円+生活費400万円=650万円の負担のうち、188万円を支援に頼ると…残りは約462万円の家庭負担となります。
子ども(大学生)はいくらまでバイトできる?
大学に行く学生さん自身がバイトをして、大学費用を支えているケースも多いですよね。その場合、学生さん自身が市町村民税を払っていたら大学無償化の申込書類が増えます。
学生さん本人の課税証明書もあわせて提出する必要があり、世帯所得に合算するケースもあります。
※ただし未成年でも結婚している場合(婚姻歴がある場合)は「成年」の方に該当するのでご注意くださいね。
大学無償化制度を利用すれば、住民税非課税世帯であれば学生さんのバイト時間は大幅に少なくできそうですが、交際費や外食費などのためにバイトをする場合は、課税対象とならないラインに注意してください。
大学費用、貯金なし…5つの方法でお金を作れ!
子どもが高校3年生の時点で「貯金がない!ヤバい!」と思った方のために、大学費用のための貯金なし世帯が、費用をかき集める方法をまとめてみました。
検討する優先順位としては「大学無償化」→「民間の給付型奨学金」→「母子父子寡婦福祉資金貸付金」→「国の教育ローン」→「銀行などの教育ローン」という順序で申請をしていきましょう。
世帯によっては大学無償化制度のみでやっていけるし、苦しいひとり親世帯ならばなるべく返済の必要のない形で給付型奨学金を受ける方がおすすめです。
1:大学無償化制度を利用する
2020年4月にスタートした高等教育無償化制度(大学無償化制度)は、ひとり親世帯に多い住民税非課税世帯の大学費用の大半を助けてくれる制度です。在学中でも申請できますが、高校生3年生になってすぐに、自分の通っている高校に問い合わせて申請準備を進めてください。
これによって住民税非課税世帯であれば、私立の4年生大学に自宅外から通った場合、最大670万円の支援をうけることができ、進学の幅が大きく広がります。
2:国の教育ローンを利用する
日本政策金融公庫は国による教育ローンです。最大350万円まで借り入れることができ、金利は普通の銀行よりもはるかに低いので、利用者は多いです。受験前から申し込みできるため、入学金にも十分間に合います。
3:民間の奨学金制度を利用する
大学進学の奨学金と言えば日本学生支援機構ですが、日本学生支援機構の奨学金は、大学無償化の給付型奨学金とかぶるため、金額は影響し合います。申請時に問い合わせる必要があります。
その他にも日本には、キーエンス財団奨学金制度やコープみらい奨学生、「夢を応援基金」では返さなくてもいい給付型奨学金制度があります。
特に「ひとり親」の家庭向けの奨学金もあるため、中学3年生からしっかりとチェックして申し込みをし、子どもの進学の幅を広げてあげましょう。
4:母子父子寡婦福祉資金貸付金で借りる
ひとり親世帯向けに教育ローンとして貸し付けをしている母子父子寡婦福祉資金貸付金(←例として、千葉県の制度のサイトを貼っています。申し込むときはお住いの市区町村で探してみてくださいね。)というものがあります。私立大学ならば、卒業後に16年間かけて分割で返すことができ、しかも無利子なのでかなり助かる制度です。
高校から受けることができ、大学では月額96,000円の生活費を受けることができる上に、入学時には別途38~59万円の高額を借りることができます。
貸付なので当然返す必要があるため、返済計画を立てて借りましょう。
5:銀行などの教育ローンを利用する
普通の銀行では年利2%前後で(変動する)、最大1000万まで教育ローンを組むことができますが、返済のためにその後の親子の生活が苦しくなるため、あまりおすすめはできません。
大学費用いくら?貯金ないけどどうする?・まとめ
大学の授業料+入学金で、4年間でかかる費用総額は…
- 国公立大学…約250万円
- 私立大学…約370万円
自宅外から通学する場合(1人暮らしの場合)の初期費用39万円と送金の年額90.3万円×4年で=約400万円の費用が掛かります。
最も多くて私立大学の自宅外通学の場合は、4年間で総額770万円の大学費用が必要になります。
2020年4月より、大学無償化制度によって、住民税非課税世帯の大学費用は大幅に支援を受けることができるようになりました。(→申し込みのタイミングと方法)
また、ひとり親ならば大学費用の貯金がない場合でも、返済不要の奨学金がいくつかある上に、ひとり親専用の教育資金貸付制度を利用することで、無利子で大学費用を借りることができます。
私はこうしたまとめ記事を書いているために、自分で調べていろいろな制度を知っています。子どもが何歳になったら〇に申し込み、何歳になったら三角にも同時申請できる。と将来を見通して年間スケジュールを立てることもできます。
しかし多くのひとり親世帯が、生活をするのに精いっぱいで、こういう制度を知らずにただただ苦労だけをしょい込んでいることが多い気がするんですよ。
一人でも多くのひとり親世帯に、こうした制度が広まって、ひとり親世帯の子どもたちの進学の幅が広がっていくことを願います。