離婚したとき「年金なんてもらえるのだいぶ先だし、どーでもいいや」と思ってた蓮です、こんにちは!
けど市役所の人に進められて、気が進まずに出かけた年金事務所で、心が温まりました。
そう、自分が「無収益」と感じていた家事労働に、報酬が支払われる気分なんです。
離婚後の年金分割について、大まかな流れは以下の通りです。
- 情報通知書の請求手続きをする(離婚前でもできる)⇒詳しくはこちらの記事で!
- 年金分割のための情報通知書を受け取る⇒詳しくはこちらの記事で!
- 話し合いをして合意する → 合意したら⑦へ
- 合意できなかった
- 家庭裁判所への審判・調停の申し立てをする(合意できなければ裁判)
- 夫婦双方の按分割合が確定し、合意する
- 年金事務所に年金分割の請求手続きをする(離婚後にしかできない)
- 「標準報酬改定通知書」の受け取り
- 手続き完了
以下に、年金分割とは?から始まり、年金分割のための必要書類やいく場所についてお伝えいたしますね!
も・く・じ
年金分割って?
年金分割とは
年金分割とは、結婚していた期間の厚生年金・共済年金の保険料を、夫婦で分割できる制度のことです。
(共済年金は平成27年秋に厚生年金と統一)
つまり、離婚前後に必須の手続き!
これまで納めてきた年金保険料の記録を分け合って、
離婚した後に、夫婦それぞれは、その分割後の記録をもとに年金の支給を受けるということ。
結婚している期間はお給料に応じて保険料が天引きされており、
お給料の多い側に年金保険料の納めた実績記録が偏って溜まっています。
つまり、家事育児労働に専念していた専業主婦ほど、離婚後の年金が悲惨なことに…
それを、離婚後に公平に分割するための制度が「年金分割」です。
- 年金分割制度は、夫婦の年金記録を分割するということ
- 年金分割制度の、分割請求手続きは離婚した後にできる(婚姻中はできません)
- 年金分割制度は、一度してしまうと双方合意があっても取り消しはできません
- 年金分割制度は、離婚後2年以内に手続きする必要があります
年金分割できない場合がある?
ただし、年金分割できない場合もあります。
結婚期間中、ずっと国民年金とかだった場合(厚生年金・共済年金じゃない)
結婚していた期間、配偶者がずっと国民年金など、
厚生年金・共済年金に入っていなかった場合は年金分割ができません。
自営業・非正規雇用・小規模個人事業に雇われていた場合のほか、
勤め先の違法な対応によって厚生年金に加入できていない場合もあります。
年金分割対象外の年金については、ほかの財産分与と含めて話し合いを進める必要があります。
また、年金を受給するためには国民年金に10年の加入期間
(保険料を納付または免除を受けていた期間)が必要です。
自分自身の加入期間が必要年数に達していない場合、
年金分割できたとしても支給を受けられないという事態になってしまうので注意が必要です。
やっぱり専業主婦で、熟年離婚した場合がものすごく不利です、女性には。
年金の3号ってなに?1号は?
年金分割には「合意分割」と「3号分割」という名がついているものがあります。
この「3号」というのは、第3号被保険者であるサラリーマンの専業主婦等が利用できる制度であるという意味です。
1号・2号という名の年金分割制度はありません。
1号と2号は分割する必要がないですからね。
年金分割は、専業主婦が婚姻期間の家事労働を鑑みられずに、
受け取る年金が激減するのを救済するシステムで、
離婚してはじめて、家事労働を国が「仕事」と認めてくれたようで、嬉しかったです。
- 第1号被保険者:自営業者・農業・漁業・学生・無職の20歳以上60歳未満の日本国民と、その配偶者
- 第2号被保険者:厚生年金や共済・組合などに加入しているサラリーマンとか公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満で20~60歳)
参照元:日本年金機構
専業主婦は問答無用で二分の一に分割できる?3号分割とは
年金分割には、分割の際に夫婦間の合意が必要なものと必要でないものがあります。
必要でないものは通称【3号分割】と呼ばれていて、専業主婦が婚姻期間の年金に不利益をこうむらない措置です。
それ以外にも3号分割の恩恵を受ける人はいるのかな?
3号分割は合意の必要がなく1人で手続きが可能です。
3号分割は、年金記録の分割割合は二分の一ずつと決まっています。
ちなみに3号分割の制度が出来たのが平成20年くらいだったのかな?
それ以前から元夫の厚生年金に入ってたとしても、離婚時に分割されるのは平成20年以降の年金分なんですよね。
3号分割に当てはまる条件とは?
3号被保険者とは、いわゆる「専業主婦」のことです!
- 厚生年金加入者に扶養されている配偶者
- 年収130万円未満
- 自分で国民年金保険料を納めなくても国民年金加入者になっている
この条件が満たされていれば、3号として合意の必要がなく手続きができます。
また、特別な判断が必要なものとして
- 障害年金を受給している場合
- 夫婦のいずれかに事実上の重婚(法律婚の相手とは別の内縁相手がいる)期間がある場合
上記の2つのケースの場合は…、専門家に相談してください!
3号分割の方法は?
離婚後に女性が必要書類(年金手帳、元夫婦双方の戸籍謄本)をそろえて、
年金事務所などへ行き、
「年金分割の標準報酬改定請求」という手続きをするだけ!
なので、離婚前に何もする必要はなく、相手方にも分割を考えている旨を特別言う必要もありません。
(私は公正証書作成のために、年金の情報分割の書類をもらいに、離婚前に行きました!)
しかし、専業主婦の期間と共働きで自分も年金を納めていた期間がある場合は、
夫婦で分割する割合(按分割合)を決めて合意して手続きをします。
その場合、元夫の合意が必要な上に、元夫婦の2人で年金事務所に行く必要があります…。
離婚後に、気持ちがさっぱりー!と思ったのに、元夫に連絡して、一緒にお出かけ…
テンションが…テンションがダダ下がり…まぁ、しょうがないんですけどね。
つまり、自分が3号分割に該当するかどうかで年金分割の手続きの流れが変わってきますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
離婚後の年金分割、手続き方法は?流れをチェック!
ここでは、離婚した後に年金分割する手続きの方法と手順をご紹介します。
年金分割手続きの前に確認しておくこと
前提として、できれば離婚する前に【配偶者の年金が分割の対象と成りうるのか】を事前に把握しておくことをおすすめします。
たとえば公的年金の中で、
- 国民年金
- 国民年金基金
- 厚生年金基金の上乗せ給付部分(付加部分・加算部分)
- 確定給付企業年金
- 確定拠出年金
は年金分割の対象外です。
ほかにも
- 私的年金(民間の生命保険会社の年金保険など)
も、年金分割の対象外です。
これら年金分割対象外の年金については、財産分与により夫婦間の公平を図ることになります。
そのため、事前に把握しておけば、年金分割について考えたときに
- 年金分割制度を利用するのか?
- 財産分与としてほかの財産と一緒にして考えるのか?
と、どのタイミングで検討するべきかが見えてきます。
そのため結婚していた期間の年金記録についてあらかじめ把握しておくと、
離婚した後の合意分割請求手続きがスムーズにいくでしょう。
年金分割制度を利用する場合の手続き手順
こちらでは年金分割の手続き手順をご紹介します。
大まかな流れは以下の通りです。
①情報通知書の請求手続きをする(離婚前でもできる)
②年金分割のための情報通知書を受け取る⇒詳しくはこちらの記事で!
③話し合いをして合意する → 合意したら⑦へ
④合意できなかった
⑤家庭裁判所への審判・調停の申し立てをする(合意できなければ裁判)
⑥夫婦双方の按分割合が確定し、合意する
⑦年金事務所に年金分割の請求手続きをする(離婚後にしかできない)
⑧「標準報酬改定通知書」の受け取り
⑨ 手続き完了
合意できない場合は、延々と時間がかかります…
けど、専業主婦の家事育児労働は、立派な仕事!
胸を張って請求していいところだと思うので、めげずに頑張っていただきたいと願います!
年金分割の手続き場所
年金分割は、最寄の年金事務所で手続きをするのが一般的!
年金分割の手続き場所についてですが、まずは年金分割の手続きについて最寄りの年金事務所へ問い合わせをしてみましょう。
こちらから検索できます!→日本年金機構
また一般的な相談や予約などはナビダイヤルでも受付しています。
→ ねんきんダイヤル 0570051165
必要書類一覧
情報通知書の請求手続きに必要な書類
- 情報提供請求書
(年金事務所でもらえる)
※事実婚関係にある期間の情報通知書を請求する場合は、その事実を明らかにできる書類(=住民票等)が必要 - 年金手帳or基礎年金番号のわかる書類
- 免許証などの身分証明書
- 印鑑(認印でOK)
- 婚姻時の期間がわかる戸籍謄本
(それぞれの戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書・それぞれの戸籍の個人事項証明書のいずれかでもOK)
私の地域だけかもしれませんが、年金事務所は基本「予約制」でした。
必ず事前連絡して予約の上、上記の書類をそろえてお出かけくださいね。
戸籍謄本は「婚姻期間が明記されたもの」と市役所に伝えるといいですよ。
合意分割の請求手続きに必要な書類
- 標準報酬改定請求書
- 請求者の年金手帳or基礎年金番号通知書
- 婚姻期間等を明らかにできる書類
⇒戸籍謄本(それぞれの戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書・それぞれの戸籍の個人事項証明書のいずれかでもOK) - 請求日前1カ月以内に作成された、お二人の生存を証明できる書類
⇒戸籍謄本(それぞれの戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書・それぞれの戸籍の個人事項証明書のいずれかでもOK)
※事実婚関係にある期間の情報通知書を請求する場合は、その事実を明らかにできる書類(=住民票等)が必要 - 年金分割を明らかにできる書類
(以下の書類のいずれか1つ)
①話し合いにより年金分割の割合を定めた場合(夫婦そろってorそれぞれの代理人が手続きを行う)
・年金分割することおよび按分割合について合意している旨を記入し、自分たちが署名した書類
・公正証書の謄本or抄録謄本
・公証人の認証を受けた私署証
②裁判所による手続きにより、年金分割の割合を定めたとき(夫婦のうちどちらか1名が手続きすればOK)
・審判(判決)の場合→審判(判決)書の謄本or抄本および確定証明書
・調停(和解)の場合→調停(和解)調書の謄本or抄本 - 年金分割請求をする方(代理人を含む)の本人確認ができる書類
→運転免許証、パスポート、顔写真付きの住民基本台帳カード、印鑑とその印鑑の印鑑登録証明書のいずれか
- 代理人にかかる上記の書類
- 委任状(年金分割の合意書請求用)の「ご本人(委任をする方)」欄に捺印した印鑑にかかる印鑑登録証明書
※合意分割の対象期間に3号分割の対象となる期間が含まれている場合、
合意分割請求した時点で3号分割の請求があったものとみなされます。
3号分割の請求手続きに必要な書類
3号分割の請求は、離婚をした後に「標準報酬改定請求書」に以下の書類を添えてお近くの年金事務所にご提出ください。
- 婚姻期間等を明らかにできる書類
→戸籍謄本(それぞれの戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書・それぞれの戸籍の個人事項証明書のいずれかでもOK) - 請求日前1カ月以内に作成された、相手方の生存を証明できる書類(戸籍の抄本、戸籍の個人事項証明書または住民票のいずれかの書類)
- 離婚をしていないが、事実上離婚状態にあることを理由に3号分割を請求する場合は、その状態にあることを明らかにできる書類
- 事実婚関係にある期間の3号分割を請求する場合は、その事実を明らかにできる書類(住民票等)
- 年金手帳or基礎年金番号のわかる書類
- 免許証などの身分証明書
- 印鑑(認印でOK)
私は戸籍謄本を2個持っていきました。
一個は離婚後の、自分の新戸籍。
もう一個は、元夫の旧戸籍謄本で、婚姻期間が明記されているものでした。
「年金分割に婚姻期間が明記されたものが必要で」と市役所で伝え、元夫に連絡することなく、旧戸籍謄本をもらえたような気がします。
わざわざ離婚後に連絡するのがいやな方は、聞いてみてくださいね。
年金分割の手続きを忘れたらどうなる?
年金分割の手続きには期限があります。
原則離婚してから2年以内に手続きをする必要があります。
しかし元配偶者が死亡した場合、死亡から1ヶ月以内に短縮されます。
知らないうちに元配偶者が死亡していて、期限が過ぎてしまったということはあり得ます。
離婚後に、手順を踏んで年金分割の手続きをすれば1ヶ月以内に手続き完了できるので早めにしましょう。
手続きを忘れてしまった場合、請求期限を過ぎると請求することができなくなります。
さいごに
私はむかし、ほんとに「女は結婚したら、ただ働きをさせられる…日本ってこんなにも男女平等に遅れた社会だったんだ」と思ってました。
離婚してはじめて、年金分割の手続きの存在をしりました。
そして思ったんです。
日本の国は、専業主婦の労働を「労働」と認めてくれてるんだなって。
見直されたのは平成16年から。
熟年離婚した専業主婦が、年金を受給する時になってあまりに不平等な境遇に陥ったからでしょうか。
家事労働の価値がちょっと認めてもらえてるような気がして、離婚時なのに「ありがとう」と心温まりました。
以下の記事もご覧ください。
参考URL
・https://www.nenkin.go.jp/pamphlet/kyufu.files/0000000011_0000023772.pdf
・https://tajimi-law.com/rikon/nenkin-bunkatsu.html
・https://ricon-pro.com/columns/209/#toc_anchor-1-10-1